同じ価格でも、内容量が変わってしまった食品。つい最近ではガソリン代が200円/L以上に。
日々高くなる物価に、多くの人が今後の生活への不安を抱えています。
物価上昇の波は、家庭では欠かせない「電気代」にも影響を与えており、毎月の請求価格を見るたびに電気の使い方の見直しを検討する方も、多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、電気代に不安を抱える方に向けて、電気代の値上がりの推移をおさらいしながら、2026年4月時点の平均的な電気代の水準、値上がりが続く主な原因などを解説します。
家庭でできる具体的な対策についても述べているので、電気代に悩む方は、ぜひ参考にしてください。
電気代の値上げはいつからスタートしている?推移をチェック!

電気代の値上がりは、ある日突然始まったわけではありません。
ここ数年の推移をざっくり整理すると、「上がって→少し下がって→また上がって→少し下がって→また上がる」という繰り返しのパターンが見えてきます。

なかでも2021年から2022年にかけての値上がりは特に急激で、家計への影響が大きかった時期です。
この時期はコロナ後の世界景気回復によるエネルギーの需要が増えたことや、円安が加速したこと、ロシア・ウクライナ戦争が始まっており、これらが価格高騰の理由として考えられます。
そもそも電気料金はどれくらいから「高い」と言えるの?
電気の利用料は家庭によって異なりますが、目安となる金額は「31円/kWh」とされています。
電力料金は、ご契約の小売電気事業者により異なります。そのため、家電公取協では、「電力取引報」(「経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会」公表)における全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値などに基づき、目安単価を算出しています。
なお、現在の目安単価は、令和4年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です。
引用元:全国家庭電気製品公正取引協議会
従量料金が31円/kWhよりも高い場合は、「電気代が高い年」と考えられます。2022年は34円/kWhが平均額だったことから、この年は電気代が高額で家庭への負担も大きかった年と言えるでしょう。
| 年 | 家庭用電気料金の目安単価(円/kWh) |
|---|---|
| 2010年 | 21.39円 |
| 2021年 | 28.09円 |
| 2022年 | 34.00円 |
2026年4月時点での電気料金の平均額
ここまでご紹介した金額は、2022年までの情報です。
では、2026年現在の電気代はどのくらいが平均額となっているのでしょうか。以下は、各電力会社の従量電灯Bプランにおける1kWhあたりの電力量料金(税込)です。
| 電力会社(すべて従量電灯Bプラン) | ~120kWh | 121~300kWh | 301kWh~ |
| 北海道電力 | 35.69円 | 41.98円 | 54.7円 |
| 東北電力 | 29.62円 | 36.37円 | 40.32円 |
| 東京電力 | 29.80円 | 36.40円 | 40.49円 |
| 関西電力 | 17.81円 | 21.02円 | 23.52円 |
| 平均額 | 28.23円 | 33.94円 | 39.75円 |
・従量電灯 – 北海道電力を元に作成
一見「そこまで高くないのでは?」と感じるかもしれません。しかし一般的な家庭であれば121kWh以上の電気を使用することがほとんどのため、2026年も電気代は従来の目安額である34円/kWhを超えることが予想されます。
さらに、実際の請求にはこの電力量料金に加えて、以下の費用が加算されることも押さえておきたい点です。
- 基本料金
- 燃料費調整額
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金
これらをすべて含めた2026年4月時点の月間電気代の目安を、東京電力の従量電灯Bプランをもとに試算すると、以下のようになります。
| 内訳 | 計算 | 金額 |
| 基本料金 | 30A | 935.25円 |
| 電力量料金(~120kWh) | 120×29.80 | 3,576円 |
| 電力量料金(121~300kWh) | 180×36.40 | 6,552円 |
| 電力量料金(301kWh~) | 26×40.49 | 1,052.74円 |
| 燃料費調整額 | 326×-7.37 | -2,402.62円 |
| 再エネ賦課金 | 326×4.18 | 1,362.68円 |
| 合計 | 11,076円(目安) |
※東京電力の料金プランを元に算出
電気代のより詳しいシミュレーションはこちらの記事も参考になります。ぜひ、参考にしてみてください。
電気代の値上げはいつまで続く?今後の見通し

残念ながら、電気代が劇的に下がる見通しは、現時点では立っていません。
複数の専門機関の分析によると、年率2〜5%程度の上昇が今後も続く可能性があるとされています。金額で言うと、4人家族の場合で毎年月1,100円前後、増えていく計算です。中東情勢の悪化や急激な円安などが重なった場合、月1,700円前後、電気代が上昇する可能性もあります。
「大した金額ではない」と思うかもしれませんが、これらの数字はあくまで予測であり、実際はもっと大きく上昇する可能性もあります。
このように、今後の電気代に完全な値下がりを期待するのは難しい状況です。しかし補助金の再開や再生可能エネルギーの普及拡大など、値下げ方向に働く要因もゼロではありません。
電気代の値上げが続くのはなぜ?

電気代が上がり続けている背景には、複数の要因が絡み合っています。主な原因を4つ見ていきましょう。
原因1.2026年4月使用分から政府の補助金が終了!
2026年1月〜3月使用分については、政府の「電気・ガス料金支援事業」により、一般家庭の場合は1kWhあたり最大4.5円の補助が実施されていました。
しかし、2026年4月使用分(5月請求分)からはこの補助が終了しています。補助が手厚かった分、終了後の請求額が「急に高くなった」と感じる方も多いでしょう。
補助金はこれまでも終了・再開を繰り返してきており、今後も夏・冬などの電力需要が高まる時期に合わせて再開される可能性はあります。
現時点では確定していないため、期待しすぎず、家庭でできる電気代節約の備えを少しずつ進めておくことが大切です。
原因2.再エネ賦課金も値上げ
電気代の請求には「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」が含まれています。
これは、太陽光・風力などの再生可能エネルギーの普及を支援するために、電気を使うすべての人が使用量に応じて負担するお金のことで、2012年から導入されており、年々単価が上昇しています。
2026年度(2026年5月分〜)の単価は、1kWhあたり4.18円に引き上げられたと発表もありました。この金額は2025年度の3.98円からさらに上昇しており、過去最高水準を更新しています。
月300kWh使用する家庭では、再エネ賦課金だけで月1,254円(年間約15,000円)の負担となります。
参考:経済産業省|再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します
原因3.燃料価格の高騰
日本の電力の約7割は火力発電によって作られています。火力発電では、天然ガス(LNG)・石炭・石油といった燃料を使用しますが、日本はこれらの資源の多くを海外から輸入に頼っています。
そのため、世界のエネルギー価格や為替の動きの影響を受けやすい構造です。
近年はこの世界のエネルギー価格・為替がさまざまな要因で、高止まりしています。
【エネルギー価格・為替が高くなる要因例】
- ロシア・ウクライナ情勢:資源大国ロシアからの供給が不安定になり、世界的なエネルギー価格が上昇
- 中東情勢の緊迫化:2026年2月のアメリカによるイラン攻撃など、ホルムズ海峡の閉鎖リスクが意識され、原油価格の上昇圧力に
- 歴史的な円安:輸入コストが上昇し、燃料調達費用が増大
なお、こうした燃料費の変動は「燃料費調整額」として、約3か月のタイムラグを経て電気代に反映される仕組みです。
原因4.国内の供給力の不足
国内の電力はほとんどを火力発電で対応していることを先ほど述べましたが、この火力発電そのものの能力低下も、電気代上昇に影響しています。
また、電力源の一部である原子力発電所の運転停止が続いていることも、電気代を高くする要因です。
- 火力発電所の老朽化・廃止:老朽化した火力発電所が相次いで休廃止されており、供給余力が低下
- 原子力発電所の停止継続:東日本大震災以降、多くの原子力発電所が停止したままで、国内の発電能力が慢性的に不足している
もちろん、国では古くなった火力発電所に代わる発電所の更新や、原子力に代わる新しいエネルギー源の活用なども計画しています。
しかしこれらの対策はすぐに実現するわけではありません。発電所の建設には10年前後かかることもあり、新しい次世代エネルギーが普及するまでには数十年以上は必要になるとされています。
家庭でできる電気代の値上げへの対策方法

電気代の値上がり要因は、個人の力では解決しにくいものがほとんどです。しかし家庭でできる範囲の対策をコツコツ積み重ねることで、家計の不安を軽減できます。
家電の使い方を見直す
電気代の節約として取り組みやすいのが、日々の使い方の工夫です。大げさな節電は続きませんが、意識を少し変える程度の節電なら、取り組みやすいでしょう。
- 誰もいない部屋の照明はこまめに消す
- エアコンはなるべく一か所にまとめて使い、家族が同じ部屋で過ごす時間を増やす
- エアコンや冷蔵庫のフィルターを定期的に掃除して、効率を落とさない
- 使っていない家電のコンセントを抜き、待機電力をカットする
これらの対策で電気代を大きく変えることは難しいですが、小さな工夫でも、続けることで年間の電気代に少しずつ差が出てくるでしょう。
家電の買い換えを検討する
最新の家電は省エネ性能が大きく向上しており、電気代を抑えて効率的に稼働できる家電も増えています。
エアコンや冷蔵庫など、常時稼働している家電が10年以上前のタイプの場合は、最新家電に買い換えることで、大きな節電効果を実感できるはずです。
また、最新家電の多くはスマートリモコンや専用アプリとの連携に対応しており、外出先からでも電源を操作できるものもあります。消し忘れを防いだり、夕方の気温が下がったタイミングで外出先からエアコンの電源を入れたりすることで、電力の無駄遣いを減らせます。
自家発電へのシフト
電気代の高さに悩む方は、自家発電を検討してみるのもおすすめです。
太陽光発電があれば、昼間に発電した電力を自家消費し、余った分の電気は売電することで電気代の負担を大幅に減らせる可能性があります。併せて蓄電池も設置することで、夜間や悪天候時も自家発電の電力を活用できます。
初期費用は決して安くありませんが、国や自治体の補助金制度を活用することで導入コストを抑えられる場合もあります。長期的な節約を見据える場合は、ぜひ検討してみてください。
電力会社の契約変更
電気代は電力会社の契約内容によっても、大きく左右されます。今の電気代の高さに悩む家庭は、電力会社を変更してみるのもひとつの方法です。
たとえば、電力会社によっては基本料金0円のプランや、従量料金が一定のプランなどが用意されている場合もあります。
また、電力会社ごとにポイント付与・提携サービスの割引といった特典もあるため、ライフスタイルに合わせた電力会社を選ぶことで、月々の電気料金だけでなく、その他の出費にも差が出るかもしれません。
各電力会社の特徴や料金を比較したい場合は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
まとめ
電気代の値上がりは、2021年以降ずっと続いています。2026年4月には補助金終了や再エネ賦課金の引き上げも実施されるため、電気代の値上げはしばらく続く可能性が高い状況です。
電気の使い方の見直しや家電の買い換え、料金プランの変更など、家庭レベルで取り組める方法から実行し、電気代の値上げの波に対策を立てていきましょう。



