電気料金は、基本料金や従量料金、燃料費調整額などの複数の項目から構成されているため、どのように計算されているのか分かりにくいと感じる方は少なくありません。
自分で電気料金のシミュレーションができれば、電力会社のプラン比較や電気料金の目安の把握が容易になります。
この記事では、電気料金をシミュレーションする方法や電気料金の仕組み、注意点を分かりやすく解説します。電気料金の見直しや切り替えの検討に役立ててくださいね。
電気料金のシミュレーションとは
電気料金のシミュレーションとは、電気使用量や契約プランをもとに電気料金がいくらになるかを試算することです。どれほどの電気料金になるのかを予測したり、電力会社・プランを変更したときに料金差があるのかを確認したりできます。
多くの電力会社の公式サイトでは、電気代のシミュレーションができるWebツールも存在します。世帯人数や実際の電気使用量、お住まいのエリアを入力するだけで、簡単に電気代をチェックできて便利です。
電気料金シミュレーションをする場合、検針票やWeb明細のデータを確認する必要があります。現在の電気使用量や電気料金の内訳を詳しく確認すれば、プランごとの電気料金の比較が可能です。
ただし、電気料金には、毎月変動する不確実な料金の項目があります。次の章で電気料金の仕組みを解説します。電気料金のシミュレーションをする前に理解しておきましょう。
電気料金の仕組み
電気料金は、単純に使用量に対して単価が乗じられるわけではありません。ここでは、電気料金を構成する項目と一般的な電気料金プラン例について詳しく確認しましょう。
電気料金の仕組みを知っていれば、電気料金のシミュレーションや電力会社のプラン比較に役立ちます。
電気料金を構成する4つの項目
電気料金を構成する項目は、下記の4つです。
| 基本料金 | 毎月定額で支払う費用。電気を使わなくても発生する料金。 |
| 従量料金 | 電気使用量に応じて支払い額が変動する料金。 使用量によって段階的に単価が変わるプランや、時間帯によって単価が変わるプランがある。 |
| 燃料費調整額 | 燃料の価格変動を電気料金に反映するための費用。 電力会社によって燃料費調整額の算出方法が異なり、毎月単価が変動する。 |
| 再生可能エネルギー発電促進賦課金 (再エネ賦課金) | 国が再生可能エネルギーで発電された電気を普及するために電力使用者が使用量に応じて負担する費用。 全国一律で単価が決められており、毎年単価が変動する。 |
ただし、プランによって基本料金が0円の場合や、燃料費調整額の名前が異なる場合があります。電気料金の算出方法も変わってくるため、プラン内容を十分に確認したうえでシミュレーションを行いましょう。
一般的な電気料金プラン例
電力会社で提供されている電気料金のプランは、主に4つあります。
| 段階制料金プラン | 1ヶ月の総電気使用量に応じて1kWhあたりの単価が段階的に上がっていく料金体系。 使用量が増えるほど単価が割高になる。 |
| 時間帯別料金プラン | 昼間・夜間などの時間帯ごとに単価が異なる料金体系。 夜間の単価が安く設定されていることが多い。 |
| 定額プラン | 一定の使用量まで定額で利用でき、それ以降は決められた電力利用料金が加算される料金体系。 「使い放題」のプランはほとんどないため注意が必要。 |
| 市場連動型プラン | 日本卸電力取引所の取引価格に連動して30分ごとに電気料金単価が決まる料金体系。 需要が高い時間帯やシーズンに割高になる傾向がある。 |
同じ電気使用量であっても、契約している料金プランによって電気料金の計算方法や単価が大きく変わります。
一般的には段階制料金プランを選ぶ方が多い傾向にあります。しかし、ライフスタイルや家族の人数によっては、時間帯別料金プランや定額プランが向いている場合もあります。
プランごとの特徴を理解し、ライフスタイルに合うプランを選ぶことが重要です。
電気料金を計算する方法
電気料金をシミュレーションするうえで知っておきたいのは、計算方法です。
ここでは、電気料金の基本的な計算式と計算例をご紹介します。電気料金のシミュレーションに役立ててください。
電気料金の基本的な計算式
原則、毎月の電気料金は、下記の計算式で決まります。
- 基本料金+従量料金(1kWh×単価)+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金
定額の基本料金に電気使用量に対する従量料金が加算された金額が、電気料金のベースです。さらに、燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算されます。
また、計算式に出てくる「kWh(キロワットアワー)」とは、電力量の単位です。たとえば、1.40kWの電子レンジを5分使用すると、1.40kW×5/60h=約0.116kWhの発電電力量となります。
電気料金の計算例
一般的に選ばれている段階制料金プランを例に、電気料金の計算式をみていきましょう。
ここでは、東京電力が提供する「従量電灯B」プランを30Aで契約している場合で計算していきます。ただし、燃料費調整額と再エネ賦課金がさらに加算される点に注意しましょう。
<基本料金>
30A:935.25円
<電力量料金(3段階)>
| 〜120kWh | 29.80円/1kWh |
| 120〜300kWh | 36.40円/1kWh |
| 300kWh以上 | 40.49円/1kWh |
1ヶ月の電気使用量200kWh・300kWh・400kWhの3つのケースで確認しましょう。
①200kWh使用した場合
| 基本料金 | 935.25円 |
| 〜120kWh | 120kWh × 29.80円=3,576円 |
| 120〜300kWh | 80kWh × 36.40円=2,912円 |
| 合計 | 7,423.25円 |
②300kWh使用した場合
| 基本料金 | 935.25円 |
| 〜120kWh | 120kWh × 29.80円=3,576円 |
| 120〜300kWh | 180kWh × 36.40円=6,552円 |
| 合計 | 11,063.25円 |
③400kWh使用した場合
| 基本料金 | 935.25円 |
| 〜120kWh | 120kWh × 29.80円=3,576円 |
| 120〜300kWh | 180kWh × 36.40円=6,552円 |
| 300kWh以上 | 100kWh × 40.49円=4,049円 |
| 合計 | 15,112.25円 |
電気料金シミュレーションのやり方
電気料金シミュレーションを行うには、電気使用量や料金単価などの情報を確認したうえで、電気料金を試算していきます。すでにご紹介した通り、計算自体は難しくありません。
検針票や電力会社のマイページに掲載されている情報を確認すれば、おおよその電気料金を算出することが可能です。ここでは、3つのステップに分けて電気料金シミュレーションの基本的な手順を解説します。
STEP1.電気使用量をチェックする
まず、毎月の電気使用量を確認しましょう。電気料金は、電力会社から届く検針表で確認が可能です。検針票には、使用量や契約アンペア数が記載されており、電気料金のシミュレーションに必要な情報がまとめて記載されています。
最近では、電力会社のマイページや専用アプリから使用量やプラン内容を確認できます。過去の使用量や電気料金も確認できるため、エアコン稼働の多い夏場や冬場の電気料金シミュレーションも可能です。
STEP2.電気料金の単価をチェックする
次に、契約している電力会社の料金単価を確認しましょう。電気料金の大部分を占める「基本料金」と「従量料金」を確認すると、概算しやすいです。料金単価は、電力会社の公式サイトや料金プランのページで確認できます。
現在契約している電力会社ではなく、切り替えの検討をしている電力会社の料金単価についても、公式サイトに掲載されています。
STEP3.電気料金を試算する
電気使用量と料金単価を確認できたら、実際に電気料金を試算していきましょう。基本的な計算方法は、「基本料金+従量料金(1kWh×単価)」というシンプルな計算式です。
料金比較をしたい場合、現在の電気使用量でどれほど料金が変化するかが目に見えてわかります。このように、電気料金の大まかな水準を把握したり、電力会社の料金を比較したりする際に電気料金のシミュレーションは役立ちます。
なお、実際の請求額には燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金なども加算されるため、シミュレーション結果はあくまで目安として考えましょう。
世帯別に見る電気使用量の目安
電気料金のシミュレーションをするうえで、かならず必要となる数字が電気使用量です。すぐに検針票や電力会社のマイページでの確認ができない方のために、東京都環境局で発表された世帯別の平均電気使用量をご紹介します。
電気使用量は、世帯人数や家の広さによって大きく変動します。ここでは、戸建て住宅と集合住宅に分けて、世帯人数別の電気使用量をまとめました。
<戸建て住宅>
| 世帯人数 | 1月 | 3月 | 5月 | 7月 | 9月 | 11月 |
| ひとり暮らし | 315 | 262 | 195 | 316 | 243 | 236 |
| 2人世帯 | 443 | 344 | 237 | 413 | 290 | 320 |
| 3人世帯 | 508 | 400 | 290 | 513 | 363 | 363 |
| 4人世帯以上 | 563 | 417 | 316 | 560 | 403 | 419 |
(単位:kWh)
<集合住宅>
| 世帯人数 | 1月 | 3月 | 5月 | 7月 | 9月 | 11月 |
| ひとり暮らし | 180 | 149 | 128 | 210 | 155 | 141 |
| 2人世帯 | 301 | 256 | 204 | 338 | 250 | 228 |
| 3人世帯 | 369 | 304 | 254 | 434 | 318 | 293 |
| 4人世帯以上 | 400 | 356 | 299 | 485 | 369 | 319 |
(単位:kWh)
当然、在宅時間の多さやオール電化かどうかによっても電気使用量には変動があります。あくまでも平均的な家庭の電気使用量と認識したうえで、電気料金シミュレーションに役立ててください。
電気料金のシミュレーションにおける3つの注意点
電気料金のシミュレーションは、電気料金の目安を把握したり電力会社の料金を比較したりするときにとても役立ちます。
しかし、あくまでもシミュレーション結果は試算・概算であり、実際の電気料金と完全に一致するわけではありません。より正確な電気料金を把握するためには注意点を理解しておく必要があります。
ここでは、3つの注意点をご紹介します。
燃料費調整額が毎月変動する
電気料金には、毎月単価が変動する燃料調整額が含まれます。発電に使用される原油やLNG(液化天然ガス)などの燃料価格の影響を受け、調達価格が高くなれば電気料金に反映される仕組みです。
そのため、電気料金シミュレーションで試算した金額と実際の請求額には差が生じることがあります。特に不安定な中東情勢や円安傾向が続くと、燃料価格は高騰してしまいます。
電気料金シミュレーションはあくまでも目安だと考え、実際の電気料金は燃料費調整額によって変動すると理解しておきましょう。
市場連動型プランは料金変動幅が大きい
市場連動型プランは、日本卸電力取引所(JEPX)の電力市場価格に連動して電気料金が決まる料金体系です。電力の需要と供給のバランスによって価格が変動するため、市場価格が安い時間帯や時期には節約できる可能性があります。
しかし、エアコン稼働率が高まる真夏・真冬の時期や、家事をする人が増える夕方から夜にかけての時間帯の電力需要は高いです。その結果、電気料金が大きく上昇する可能性があります。
シミュレーション結果と実際に請求される電気料金に差が生じる可能性がある点に注意しましょう。
電力会社のシミュレーションを利用する際は条件を確認する
電力会社の公式サイトに掲載されているシミュレーションを使用する際は、条件を十分に確認しましょう。たとえば、契約アンペア数や電気使用量、料金プランなど、実際の契約内容と異なる場合、試算結果と実際の電気料金に差が出る場合があります。
残念ながら、低い契約アンペア数や少ない電気使用量でシミュレーション結果を提示している電力会社も存在するのも事実です。なかにはキャンペーンによる割引を適用させた料金を提示しているサービスもあります。
経済産業省では、誤解を招く不適切な電気料金シミュレーションや料金説明が掲載されていることに対して注意喚起を行っています。
そのため、比較条件や比較対象が適切かをしっかり確認し、「お得」「◯%安くなる」等という文言に踊らされないよう注意しなければなりません。冷静にシミュレーション内容をチェックして、電力会社の切り替えの申し込み手続きを進めましょう。
まとめ
電気使用量や料金単価をもとに毎月の電気料金をシミュレーションすれば、毎月の電気代が予測できます。電気料金は、基本料金や従量料金、燃料費調整額などで構成されており、計算方法を把握しておけば電気代の仕組みを把握しやすくなります。
また、季節による使用量の変化や燃料費調整額の変動によって、実際の電気料金はシミュレーション結果と異なる場合がある点に注意が必要です。より正確な電気料金を把握するためには、複数の条件を確認しながらシミュレーションを行いましょう。



