お風呂やキッチンで使うお湯が「熱すぎる」「ぬるい」…。
ちょうど良い温度のお湯を使用するためには、適切な温度設定が必要です。
給湯器の温度設定には、水道のタイプや使い方に合わせた最適温度があります。また、設定温度を少し変えるだけで、使い心地だけでなくガス代の節約にもつながります。
この記事では、水栓のタイプごとの設定温度の目安から季節や用途に合わせた設定温度、さらに節約のコツまで、わかりやすく紹介します。
お湯の温度設定に悩む方は、ぜひ参考にしてください。
給湯器の温度設定は何度がベスト?

給湯器の温度は、一概に「〇〇℃であれば良い」とは言えません。その理由は、水栓のタイプによって適切な温度設定が異なるためです。
日本の家庭で使用されている水栓は、おもに以下の4種類です。
- 単水栓
- ハンドル混合水栓
- シングルレバー混合水栓
- サーモスタット混合水栓
それぞれの適切な設定温度を、見ていきましょう。
単水栓の場合|【推奨温度】40℃前後

単水栓とは、お湯と水が別々の蛇口になっているタイプです。現代の家庭では見かけることは少ないですが、施設のトイレや手洗い場などではまだ使用されています。
単水栓は他の水栓と異なり、お湯を水で薄めて調整せず、設定温度のお湯がそのまま出てくるため、給湯器の温度をあまり高温にすると危険です。
ハンドル混合水栓の場合|【推奨温度】50〜60℃前後

ハンドル混合水栓とは、水とお湯の取手は別々、蛇口は1つのタイプの水栓のことです。お湯だけだと湯量が足りないことも多く、基本的には水と混ぜて使用します。
そのため、給湯器の設定温度はやや高めにしておくと使いやすくなります。
シングルレバー混合水栓の場合|【推奨温度】50〜60℃前後

シングルレバー式は、取手も蛇口も1つのタイプで、レバーをひねってお湯の温度を調整します。現代の家庭のキッチンや洗面所などで、見かけることが多いタイプです。
こちらも、給湯器の設定温度は50〜60℃が目安です。
サーモスタット混合水栓の場合|【推奨温度】50〜60℃前後

サーモスタット混合水栓とは、左側がお湯の温度、右側にシャワーと蛇口の切り替えが取り付けられているタイプのことです。お風呂場で、採用されます。
温度を自動で一定に保つサーモスタット式は、給湯器の温度は50〜60℃に設定しておくと安定した温度が出せます。
【ノーリツ】メーカーが推奨する給湯器の温度設定
給湯器メーカーのノーリツは、給湯器の設定温度は以下で推奨しています。
- 食器洗い:32〜38℃
- シャワー:39〜43℃(熱めが好きな方は44〜55℃まで)
おそらく、多くの家庭が上記の範囲内の温度で、設定していると思います。しかしメーカーによっては50〜60℃を推奨する場合もあるため、適切な温度設定を確認する場合は、給湯器の説明書に目を通してみましょう。
参考:お湯の適切な設定温度を知りたい – よくあるご質問|株式会社ノーリツ
季節や用途も考慮した温度設定が大切

給湯器の適切な設定温度は、その日の気温や使用目的によっても変わってきます。
| 用途 | 推奨温度(冬場) | 推奨温度(夏場) |
| お風呂(給湯器の設定温度) | 42℃程度 | 37〜40℃程度 |
| シャワー | 39℃〜43℃ | 37℃〜39℃ |
| 食器洗い | 37℃〜40℃ | 35℃〜40℃ |
たとえば、冬は配管も冷えるため夏より冷たい水が混ざります。そのため給湯器は少し高めの温度に設定しておくと快適です。
一方、夏は配管が温まり、水の温度もぬるくなるため低めの設定で十分です。
「給湯器の設定温度は40度にしてはいけない」と言われる理由は?

「給湯器の設定温度は40℃にしてはいけない」という話を聞いたことがある方も多いかもしれません。
SNSなどで広まったこの説には、いくつかの誤解が含まれています。ここでは、その内容を見ていきましょう。
故障の噂があった
一時期、SNSなどで「40℃以下に設定するとサーモスタット混合栓が壊れる」という噂が話題にのぼりました。
しかしこれには明確な根拠はなく、実際に給湯器の故障を引き起こすことはほとんどありません。
ただし古い機種ではセンサーが不安定な場合もあるため、極端に低い温度設定を長期間続けるのは避けたほうが安心です。
節約にならない
「設定温度を下げれば節約できる」と思われがちですが、実は逆効果になることも。
温度が低すぎるとお湯がぬるく感じ、適温になるまで長くお湯を出し続けてしまいます。その結果、ガス・水道代が増えてしまうことも少なくありません。
また、お風呂ではお湯が冷めやすくなり、何度も追い焚きや足し湯をする必要が出て、かえってガス代が高くなるケースもあります。
給湯器の温度設定以外でできるガス代の節約術

給湯器の温度設定だけでなく、日々の使い方を少し工夫するだけでも、光熱費を抑えることができます。
無理な我慢をせず、暮らしの中でできる節約法をチェックしてみましょう。
追い焚き機能を使わない
湯船を沸かす家庭では、お湯が冷めないうちに家族が続けて入浴したほうが、追い焚きの回数を減らせます。
また、入浴後はフタを閉めることも、忘れたくないポイント!保温シートを併用すればより効果的です。
さらにお風呂を沸かす際、給湯温度を1〜2℃高めに設定しておくのもひとつの手です。湯船の温度を少し熱めに設定することで、お湯が冷めるスピードを落とせるため、追い焚きを使う回数を減らせます。
ただし、熱めのお風呂が苦手な場合は無理しないようにしましょう。
お湯の使用量を減らす
シャワーを流しっぱなしにせず、こまめに止めるだけでも大きな節約になります。
たとえば、1分間のシャワーでおよそ12リットルの水が流れるため、3分短縮するだけで1回あたり約36リットルの節水に。
1日1回の入浴でも、月で約1,000リットル以上の削減につながります。
調理時に工夫する
料理の際に鍋を火にかけるときは、水から沸かすよりも給湯器で温めたお湯を使う方が効率的です。沸騰までの時間を短縮でき、ガスの使用量を抑えられます。
また、電子レンジや電気ケトルなどをうまく活用すれば、ガスの使用をさらに減らすことができます。
たとえば、電子レンジで下ごしらえをしてから火にかけるなど、調理方法の見直しも立派な省エネ対策です。
省エネタイプの給湯器に交換する
長く使っている給湯器を高効率型(エコジョーズなど)やハイブリッド型に交換するのも効果的です。
| 給湯器の種類 | 従来型給湯器 | 高効率型給湯器(エコジョーズ) | ハイブリッド給湯機 |
| 年間のガス代目安 | 約9〜13万円 | 約4〜7万円 | 約4〜5万円 |
| 従来給湯器とのガス代差額 | – | ー5〜6万円/年 | ー5〜8万円/年 |
| 導入費用 | 約6万〜13万円 | 約30万〜50万円程度 | 約60万〜120万円 |
| 導入費用差額の回収年数 | – | 4〜8年 | 約6〜13年 |
初期費用はかかりますが、光熱費の節約で数年〜十数年で回収可能なケースも多く、長期的に見るとお得です。
交換業者を選ぶ際は、こちらの記事が参考になります。
まとめ
給湯器の温度は、「40℃前後」に設定している家庭が多いと思いますが、その温度がすべてに最適とは限りません。
水栓の種類や季節、使う目的や給湯器のメーカーによって調整することで、快適さも光熱費の効率も大きく変わります。
自分の生活スタイルに合わせてちょうどいい温度を見つけ、快適でエコな暮らしを実現しましょう。


